今の浦和レッズは、悪くない。

ウィルフリート・サヌのレンタル獲得が決定してあとは阿部の去就だけとなり、これで今期の浦和の布陣はほぼ確定した。宮崎キャンプも打ち上げとなり、いよいよ開幕に向けて厳しいスタメン争いが開始されるのだと思う。本当に、なんと落ち着いた開幕前の時間なんだろうとしみじみ感じている。本来こうあるべきだった筈の時間を作り出せなかったのがここ数年の浦和であり、これでようやく普通のフットボールクラブに戻れたんじゃないかと考えている。

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クラブ主導のチーム作りは、当たり前のように感じるけれどそれが実践できているクラブは希で、Jリーグで考えると、開幕時から一貫した強化が出来ているのは鹿島だけだと思う。ジーコが植え付けた哲学がクラブに染み渡り、システムや戦い方、外国籍選手の獲得方針まで、ほとんどぶれずにやってこられているのは驚嘆に値する。ただし、これは彼らがプロヴィンチアだから出来たことじゃないかとも、個人的には思っている。

浦和は、本当に驚くほどそういう方針を持たないクラブだった。外国籍選手の獲得ひとつ取ってみても、国籍はバラバラ、同じポジションに複数の外国人が在籍することも多々あり、とてもじゃないが長期的視野に立った補強を継続しているとはお世辞にも言えない状況が、ずっと続いていたのだ。情報開示も積極的に行っていたとは言えず、何故この監督を選んだのか、何故この選手を補強したのか、どういう戦い方を目指すのか。まるで千代紙の束をめくるかのように、シーズンごとにその色は違っていた。

だから、やっと普通のレベルまで回復しただけだとは思うけれど、浦和の現状はとても好ましいものに映る。一昨年の藤口氏が掲げた改革が、ようやく実を結びつつあるのだろう。改革の最中だから、林道の凸凹の悪路を走る様な2年間だったと思うけれど、整地しながら少しずつ走ってきた結果が今ここにあるんじゃないだろうか。

ユース世代の育成強化は数年前からの課題で、これも昨年果実として5人の選手が一気にトップ登録されるという快挙につながったのだけれど、これを可能にしたのもトップチームにクラブの方針と整合性の高いフィンケを招いていたからこそだ。一昨年のユースチームは堀孝史監督に率いられ、見事なまでの“コンビネーション・サッカー”を展開していた。ただその時のトップチームは、システムも違えば戦い方も明らかに異なっていて、たぶんあのチームにユースの5人が合流したとしても、試合に絡むことは相当難しかっただろうと思う。

トップチームと下部組織が同じ方向を向いてなければ、どんなに下部組織に力を入れたところで何にもならないのだから。ユースチームで輝きを放つ選手を上に引き上げた時、同じサッカーをしていればすぐに馴染み試合に絡んでいくことができる。当たり前のことだけれど、トップチームは常に勝利を要求されるからいくつもの柵が発生し、実際そう思い通りにいくことは少ない。だからこそ、全ての幹となるクラブが、しっかりとした骨格を用意しなければならないのだ。

また同時期に、クラブが主導して積極的な情報発信を行うようになったのも特筆すべきことで、本当に今のオフィシャルサイトは良い仕事をしていると思う。特に携帯サイトでは、隙間の部分に光を当てて、既存メディアでは読むことの出来ないであろう選手たちのコメントが、毎日のように更新されている(出来ればPCサイトでも同様のことをやっていただきたいものだが)。監督のインタビューを全文掲載するのも凄く良いことで、如何に既存のメディアが恣意的に情報を出しているのかが一目瞭然となった。大本営発表であろうと、まずクラブが一次情報を開示することの意義は非常に大きい。

こうして俯瞰してみると、今年の浦和レッズは外部・内部の騒音も落ち着き、例年になく静かにしっかりとしたシーズンインを果たせたのではないかと思ってる。ただ、安穏としていられる訳ではもちろん無い。相変わらず親会社の影響を大きく受ける浦和は、社長の交代など何とも思わないクラブであるのに変わりないのだから。今はしっかりとしたフットボールクラブを目指そうとしているのが強く伝わってくるけれど、それが継続される保証は何処にもない。でも僕は、ようやく浦和が腰を据えて幾つもの方面に闘いを挑める状態になったことが嬉しくて仕方ない。だからファンの一人として、今が正しいのだと、僕は声高に主張し続けようと思う。

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